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− 夜会話2 −
レオンとエイナ

【ACT.04】 【ACT.05】 ACT.06】

【ACT.04】


ピアちゃんとリゼルドさんは
そう言い残して、去っていった

ぐるぐると森の中を歩き回った
疲れが、どっとおしよせてきて

私はそのまま、森の出口に
へたりこんでしまったんだ

ひとやすみするって決めて
野宿の準備をしながら
ふと、気がついた

そういえば・・・
外で眠るのって、初めてだ

この世界に、夜はない
空はいつも薄明るいままで
月も、星も、太陽も見えない

それらが存在することは
みんな知っているのに

本当に見たことのある人は
一人もいないらしい

なんだか、それが不思議で
ちょっとだけ・・・

こわい気がした・・・



レオン:・・・で、不安になったから わざわざ、俺に話しかけたりしたってワケかよ

エイナ:えへへへ・・・

レオン:ガキじゃあるまいし まったく、昼間の勇ましさはどこにいったんだよ

エイナ:な、なによう!?私だって、れっきとした女の子なんだから!?

エイナ:あんまり、勇ましいとかそういうのばっかじゃいられないって・・・

レオン:そういうものか?

エイナ:そういうものですっ!

レオン:ふーん・・・ま、いいけどな

レオン:俺のほうも、ちょっと気になることあって話がしたかったんだ

エイナ:え?

レオン:「迷いの森」のことさ ピアが言っていただろう?

レオン:自分で出口を見つけることができない人には、

レオン:あの森は、やっぱり「迷いの森」のまま・・・ってな

エイナ:うん

レオン:もしかすると、あの森はなにかを試すために用意されたものじゃないのか?

エイナ:試すって、なにを?

レオン:森を通ろうとする者をさ

エイナ:えーっ!?

エイナ:ぷっ・・・あははははっ!!

レオン:な、なんで笑うんだよ!?

エイナ:だって・・・それって、絶対おかしいよぉ

エイナ:そうだとしたらさ いったい、なんのためにそんなことするのよ?

レオン:それは・・・

エイナ:考えすぎだよ、レオン

エイナ:そりゃあ、私だって時々、変だなあって思うこともあるよ?

エイナ:ノヴァも、ファイファーもユヅキさんに、ピアちゃん リゼルドさんも・・・

エイナ:みんな、みんなもったいぶった言い方ばっかりするから

エイナ:試験を受けてる気分になっちゃうけどさ

エイナ:それは、この世界の決まりがそうなってるからってだけのことで・・・

レオン:決まりって、なんだ?

レオン:それは、誰が決めたんだ!?

エイナ:それは・・・っ

エイナ:・・・・・・

レオン:・・・・・・

レオン:わりぃ・・・なんか、かえって不安にさせちまったな・・・

エイナ:ううん・・・

レオン:わからないことだらけだから 俺たちは、その答えを探しているんだもんな?

エイナ:きっと、もうすぐわかるよ!

エイナ:この世界のことも なくしちゃった、私たちの記憶のことも

エイナ:そしたら、きっと今のもやもやした気分も すっきりするって!

レオン:ああ、そうだよな



そうに決まってるよ・・・
絶対に・・・


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【ACT.05】


ベッドに横たわっても
なかなか寝つけなかった

当たり前だよね
いっぺんに、これだけ
たくさんのことがあったんだ

キサナさまとの出会い
人に自立をうながそうとする
「白夜」という考え方

それを余計なお世話だと
笑い飛ばしてしまう
ベクサーとの戦い

どっちが正しいのか
正直、私にはわからない

考えたこともなかったことを
いきなり、つきつけられても
答えなんか出せないよ

あいつは・・・
どう思ってるのかな?

それを知りたくて
私は「常夜の石」に
触れたんだ・・・



レオン:そんなこと 俺に聞くなよ

エイナ:だって、わかんないもん

レオン:お前がわかんないからって 俺が、わかってるって決めつけるのはよせよ

エイナ:・・・ってことは、やっぱレオンもわかんないんだ?

レオン:む・・・まあ、な・・・

エイナ:そっかあ・・・

レオン:なんだよ?どうして、そこでニヤニヤするんだよ

エイナ:んー、なんでだろ?

エイナ:たぶん、わかんないのが私だけじゃなかったからホッとしてるのかも?

レオン:・・・ったく

エイナ:へへへっ

レオン:まあ、たしかに

エイナ:簡単に答えが出るようなことじゃないのかもしれないな

エイナ:そうだね

エイナ:はっきりわかることならベクサーたちだって

エイナ:あんなやり方しないはずだもんね

レオン:たしかに、あいつの言っていたことにはうなずける部分もあった

レオン:考え方なんてものは人それぞれだからな ぶつかりあって当たり前だ

レオン:(それが苦手だから、あまり俺は人に接することが好きじゃないんだし・・・)

エイナ:だけど、やっぱり私はキサナさまの考え方のほうが好きだな・・・

エイナ:同じ、おせっかいでも その先になんにも見えないベクサーたちのやり方より

エイナ:なにかを積み上げようと努力していくほうがずっといいって思うもん

レオン:かもな・・・



だって、それを否定したら
前に進むことなんて、きっと
できなくなるよ・・・


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【ACT.06】


驚く間もなく、思いきり
ぶちのめされていた

暗転していく
視界の奥で、またしても
ノヴァの姿が遠ざかっていく

気づいた時には・・・

一筋の光さえとおさない
闇の壁に、道はふさがれて
しまっていた

まるで、もうこれ以上
踏みこんではいけないと
いうかのように・・・



エイナ:結局、また・・・逃げられちゃったね

レオン:あの状況じゃ仕方ない

レオン:俺でも、たぶんなにもできなかった

エイナ:うん・・・ありがと、レオン・・・

レオン:・・・・・・

エイナ:だけど、あの闇の壁 あのままにしておいてよかったのかな?

レオン:どうにかしようにも剣でも、召喚術でも歯が立たなかった

レオン:俺たちの手にはあまる代物だ

エイナ:でも、ピアちゃんやユヅキさんたちならもしかして・・・

レオン:だったら、どうしてキサナに報告する時に黙っていたんだ?

エイナ:それは・・・っ

レオン:わかってるさ 多分、俺と同じ理由だ

レオン:「白夜」に関わるな、ってノヴァに言われたこと気にしてるんだろう?

エイナ:うん・・・

レオン:光の正体がノヴァだったことを報告しただけで

レオン:リゼルドもオーレルも動揺してたからな

レオン:言わなくて正解だ

エイナ:イヤだよね・・・なんか・・・

エイナ:ついさっきまで信用していたはずの人たちのことを

エイナ;ささいな言葉ひとつだけで急に、疑っちゃうなんて

エイナ:今の私は、ノヴァのことも 「白夜」のみんなのことも信じられなくなっている

エイナ:最低だよ・・・

レオン:自分を責めるな 誰にだって、そういう時はある

レオン:そのたびに自分を見つめなおして 間違っていたかどうかをたしかめるんだ

レオン:そうして、強くなっていくんだ

エイナ:レオン・・・

レオン:今は、もう休め

レオン:どれだけ時間がかかろうと 最後に、答えにたどりつければ それで、いいんだ

エイナ:うん・・・そうだよね・・・



きっと見つけられるよね?
私たちの、答えを・・・


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